放課後の学校。
					ざわつく校内では妙な会話が聞こえる。
「知ってる? あの廃工場、変なのが出るんだって」
					「変なの?」
					「なんでもこの辺りじゃ見かけないのがいるんだってさ」
					「それだけじゃ何のことかわからないじゃん」
					「なんでも『その変なのを見た後は記憶が曖昧になる』らしいよ」
					「はぁ? 何それ?」
					「廃工場でのことをろくに思い出すことができないんだって。そこに行ったことまでは覚えてるのに」
					「ひぇ〜」
					「そもそもなんでその廃工場なのかもわかってないんだよね。ここ最近になって突然そんなウワサが出てきてさ」
					「他に分かってることは?」
					「確か……」
そんな中をずかずかと歩いていく少年がいた。
					少年はある教室の前に着くと青みががった髪の少年の前に立ってこう切り出した。
					「ハルちゃんはどう思う?」
					「唐突すぎて何もわかんねーんだわ」
					ハルちゃんと呼ばれた……話しかけられた方の少年は彼を半目で少しにらみつつも正直に返す。
					「ほら、最近耳にするあのウワサのこと」
					「……わざわざ気にすることもない気がするけど」
					気になるのかと尋ねると、話しかけた少年はうーん、と唸りつつ、
					「最初は僕も気にしなくていいかなって思ってたんだけど……『虫のような謎の生物』『被害者の記憶の混濁』とかちょっと聞き捨てならない言葉が聞こえたから」
					と、返した。
					「嫌な予感的な?」
					「うん。知り合いが関わっている可能性が高そう。聞き流したかったけど、もし彼らが被害出してるとなると僕の家も黙ってられないっていうか……一応そういう家の人間だし、そこらへんの監視……監督はちゃんとしないといけないっていうか」
					そういう少年に犯人の目星はついているのかと少年が尋ねると、彼は目星はつけていると返し、少年のほうをまじまじと見る。
					「で、ハルちゃんにお願いなんだけど」
					「……」
					少年はこれ拒否権ないやつかな……そうなんだろうな……と半ば諦めの境地に至っていた。
					彼はその少年……有座勇人の無茶振りに幾度となく振り回されていたからである。
そうして数日後。
					約束の時間、約束の場所に彼は一人だった。
					なんとなくこうなる気はしていたが、それはそれとして怒りを覚えないわけではないので携帯を取り出す。
					相手が出た音を耳にしたら開口一番、
					「当のお前が来れないってどういうことなのかな!?」
					と怒鳴ったが、別に相手に悪いとも思わなかった。
					なにせよくあることなので、これくらいしたたところで改善した試しがない。
					当の勇人は勇人で、多少すまなそうな声色ではあるが、いつものように返してきた。
					「ほんっとーに! 申し訳ございません! 自分の立場のこと失念してました!」
					よくよく考えたらすぐに外出許可おりないとかそういうこと頭から抜けてた、だの言っているが自分の立場が分かっているのならいい加減理解してほしい。
					……これで何度目だと。
					怒りに任せて電話をかけた方もかけた方で別にお前が動くのは問題ないんじゃないの、とは流石に思いはしない。
					勇人は特殊な役割を持っている人間だからだ。
					彼はとある分霊の依り代であり、またとある人外たちの管理権限を与えられている『依巫』と呼ばれる存在である。
					普段行かないようなところに行こうとすればそれだけで警戒されるし、そもそも学校や家以外に出かける時はいろいろ面倒な手続きが必要となる。
					本来この情報は秘匿されるものだが、彼自身が特殊な能力を有している関係もあり、このことが知らされている。
					……知ってはいたけど改めて言われると面倒な身分だよな、とは思いつつも気になっていることを尋ねる。
					「ところで俺は1人で行けってこと?」
					「流石に僕もハルちゃん1人に行かせるのは……って思うし、助っ人は頼んでる。そろそろ着く頃だと思うけど」
					「ふーん?」
					その後はなあなあで電話は切れた。
					助っ人がくる、とは聞いたものの具体的なことはわからずじまいである。
					……正直なところ、誰が来るであろうかは想像がついているが。
「あ、春希いたー」
					青年の声がする。勇人の言っていた助っ人は想像通りの人物だった。
					「智弥?」
					彼……春希は、勇人がこういうことをすぐに頼みそうな相手が限られていることを当然知っていた。
					そんな様子を見た智弥はそっか不満かーとわかりやすく残念そうな顔をする。
					「不満とは思ってないけど」
					慣れた相手でむしろ助かるけど、と言うとそりゃそうだ、と笑う。
					「ところで勇人から情報をいくつかもらってきたけど、説明いる?」
					春希は、そういえばそういう話を全然聞いてこなかったことを思い出す。
					何かあるのかと尋ねると、智弥はもちろんあるよ、と以下のことを教えてくれた。
この廃工場の所有者はルカ・A・ストルカテス。
					しかしウワサの内容について、ルカはてんで心当たりがないらしい。
					そもそも彼はここに関して、いずれ壊すつもりということを考えているくらいで特になにもしていないのだとか。
					勇人が廃工場に入るための許可はとったからちゃんとした報告は後でいいし、なんなら報告くらいなら代わりにやると言っていたらしい。
					春希は、あの人勇人たちには甘いし報告は勇人がやってくれないかなぁ……などと思いつつ他にも何かあるかを尋ねた。
					「多少なら春希が暴れても問題ないってさ」
					「さすが勇人、話が早い」
					「オレもいくつか細かいの持たされてるよ。『絶対ハルちゃんに触らせるな』って」
					勇人のことなので何かしら準備はあると思っていたが、また面倒そうなのを準備したのかもしれない。
					春希はなんとも言えない表情をしていた。
廃工場の中は機械などの大部分が撤去されており、がらんとしている。
					それは問題ない。ここが使われなくなってだいぶ経つのだから。
					……彼らにはそれよりも気になる点があった。
					「それにしてもここ、虫多いよね?」
					「確かに。周りに比べると多いかもね」
					残っている瓦礫を軽く動かすと、そこから虫が湧いてくる。
					「謎の生物が目撃されてるとは聞いたけど、もしかしてこれのこと?」
					春希は確認するように他のところも見ていくが、同じように虫がいた。
					智弥は何か気になることでもあるのか、腕を組んで虫を見つめている。
					どうかしたのかと春希が尋ねると、
					「春希、ちょっとその虫潰してみて」
					と言い出した。
					春希がそれに従って虫を幾つか潰すと、智弥には何かがわかったらしい。
					「オレたち以外にも誰かいる」
					智弥は意志を感じ取ることに長けているので、自分たち以外の何らかの意志を感じ取っていたのだろう。
					「でも変な力持ってるような相手なら春希の相手じゃないだろうし。普通の人間相手ならオレがどうにかできるから……」
					別にそこまで気にするものでもないよと、彼は笑う。
					春希はそうじゃなくて、と言いだそうとした途端、上の方から物音がした。
					「噂をしたらってやつ? よし、春希このあたりかるーく壊して!」
					そう言いながら春希の肩をポンと叩く。
					(俺の力はそういうのじゃないんだけど!)
					と春希は思うものの、しぶしぶ音のした方を見る。
					近くに梁に繋がれたロープを見つけ、それに手を伸ばす。
					ロープを軽く引っ張ると、破壊音が響いた。
すると、驚いたような声と何かが落ちたような物音がした。
					物音がした場所を見ると、そこにはこういう場所にいるには少々場違いな格好の女性がいた。
					落ちて尻餅をついたらしく痛そうに体をさすっていたが、他にも人がいることに気がつくと、えーっと、と気まずそうにこちらの方に話しかけてきた。
					「アタシはヴィクトリア・キュラス。……キミたちは?」
					「……オレは堤島智弥。こっちは堤島春希」
					名前を聞いたヴィクトリアが苗字が同じなので兄弟なのかと尋ねたが、春希と智弥は従兄弟である。
					親戚ではあることを伝えると、彼女はなるほどという納得はしつつ春希にこう聞いてきた。
					「キミのそれは……どういうことなのだろう?」
					「えーっと?」
					春希は何を言っているのか理解するのに少し時間がかかったが、彼女が自分の力について気付いたのだと察する。
					しかしどう説明したものか。祖母が特殊な家の人間とでも言えばいいのか。しかしそれを言ったら堤島だってそうだ。
					どういうべきかと唸っているとヴィクトリアはこう尋ねてきた。
					「それについて何か言われていたりとかは?」
					ずいぶんと聞いてくるなと思いつつも日常生活に支障ないなら大丈夫、と正直に答えた。
					「そっかあ。なら気にしなくていいのかな」
					そういう彼女を智弥はじとりと睨んでいた。
					どうしたのかと尋ねても、彼は「別に」と言うだけだった。
「ところでキミたちはどういう目的でここに?」
					「調査です」
					「調査」
					「ここの所有者の縁者から妙な噂の確認をするように頼まれていまして」
					ルカは勇人の親戚なので嘘は言っていない。
					所有者から頼まれたわけではないけど物は言いようだなと思いながら春希は様子を見ることにした。
					「アタシは探し物をしてたらここにたどり着いたんだけど、黒くて小さい部品っぽいのとか見てない?」
					……黒い部品なんてあっただろうか。二人とも見てないと返した。
					「……だったら、アタシもキミたちと一緒に行ってもいい?」
					彼女は人が多い方が見つかりやすいかもしれないし、と聞いてくる。
					智弥は思うところはあるようだったが、断りはしなかった。
3人で廃工場の中を進んで行く。
					瓦礫やら撤去の終わってない機材やらがないわけではないが、場所柄そこまで気にするようなものは見当たらない。
					当然、彼女の探し物も見当たらない。
					無駄足だったかと春希は思い始めていたが、階段をのぼったあたりからヴィクトリアの様子はおかしくなっていた。
					「ん? なんだろ、頭が……」
					「あ、ヴィクトリアさん、そっち行くと危な……」
					春希は彼女の手を掴もうとした。
					掴んで、引き寄せようとして、鈍い音がした。
					そこには彼女の腕が落ちていた。
					しかしその腕は、腕の形をした別のものだった。
					「……!」
					それを見た彼らと彼女は驚愕していた。
					腕が落ちていることに気づいた彼女の表情は驚愕から恐怖へと変わっていた。
					「お前……お前! その力を私に使ったな!?」
					「なんで腕が……っそもそも、あなたは一体何者なんですか?」
					春希も自身が握っていたものと落ちたものに目をやりつつも問いかける。
					それは腕というよりも、腕の形に集まった虫だった。
					ヴィクトリアは落ちていない腕で腕があった場所を触って確認している。
					そこからもたくさんの虫が落ちていた。
					「ア、私は……エイリアス・フラーウムの代行で……」
					「え?」
					おさえていた手を下ろし 朧げにあたりを見回す。
					「それよりもアタシは目的を果たさないと……果たさないと?」
					彼女はふらふらと足元がおぼつかないままどこかへと向かっていた。
					しかし足元を踏み外し、ぐらりと体が傾く。
					彼女に彼らの声は届いていなかった。
					「なんで……?」
					そんな呟きが聞こえた後、地面とぶつかる音がした。
					春希たちはその様子を見ていることしかできなかった。
					落ちて事切れた彼女の身体から赤いものは出てこなかった。そのかわりに、無残な姿になった彼女からは無数の虫が這い出てきた。
					その虫たちは、春希たちを気にすることなくその場から去っていく。
					足音が消えると、そこにはもはや人だったとは思えない肉塊のようなものと、彼女が身につけていた衣服が残っているだけだった。
					「……呆然としてるところにこういうこと言うのもどうかと思うけど、このことはちゃんと報告しないとだからね」
					智弥は呆然としている春希に当然のように言い放つ。
					そういってのけることができる彼にどうかしてると思いつつも、まだ何か考えている彼に何か気になることでもあるのかと尋ねる。
					「彼女は初対面の時、なんて考えてたと思う?」
					「どんなことを?」
					「『私の記憶が間違ってなければ堤島ではなく、確か……』だよ」
					堤島が特殊な力を持っていることは、この辺りじゃ知る人ぞ知ることだからともかく。
					それでも春希の力が堤島由来のものでないだなんて、よっぽど調べてなきゃまずわからない。
					そしてその言い草からして、彼女は春希の力が園本由来の力だってことに気づいていたのであろう。
					「確かに何か知ってそうな口ぶりではあったけど」
					「どう考えても普通の相手ではないんだろうね」
					智弥はだから少し揺さぶってみようと思ったんだけど、とつぶやきつつもう一度確認しようと覗き込む。
					そこにはなにも残っていなかった。
					「……ちょっと酔わせればなんか情報落とすと思ったんだけどなー」
					「落とすどころか逃げられてるけど?」
					結果としては逆効果になってしまったが、春希は彼女をああいう状態にしたのが智弥だと察していたので、フォローに回ろうとしたつもりだったのだ。
					「いやでも、情報がゼロってわけじゃないし」
					「そうだけどさーそうじゃなくてさー」
					今回は相手が人間じゃなかったからよかったようなものの、本当に人間だったら大変だった。
					きっと彼は気にしないだろうが、そういうところは依巫の影響を受けないで欲しかった。
					……とはいえ方や親戚、方や小学生の頃からのクラスメイト、影響を受けないでいられるだろうか。特に後者。
					「で、どうすんの? これ以上調査しても情報出るとは思えないけどまだ続ける?」
					「……」
					勇人たちに聞けばなにかわかることでもあるのだろうかと思いつつ、彼らはその日の調査を終えることにした。
そして別の日。
					彼に報告をするために智弥は勇人の家に集まっていた。
					事の顛末を勇人に説明すると、彼はふむふむと興味深そうに話に耳を傾けていた。
					「オレからの報告はこのくらいなんだけど、大丈夫?」
					そういう智弥に勇人は別にちゃんとした内容じゃなくても問題はないよ、と言う。
					「あの人、僕たちに会う口実としてそういうの用意しといてって言ってるだけだから」
					「そう……だね、そういうとこあるよねあの人」
					そんな話をしていると、
					「何で私までって思ってたんだけど、ルカが関わってる話だったんだこれ」
					と、割り込む女性の声がする。勇人と同じ立場にある園本詩歌である。
					ちなみに春希の親戚でもあり、彼に日常生活に支障がないなら大丈夫と言ったのは彼女である。
					「ルカが関わってるなら呼んでおいた方が後で面倒なことにはならないかな、と」
					「それならわかるけど……春希くんは?」
					そう尋ねると、勇人はハルちゃんは今日外せない用事があるから来れないと携帯の画面を見せる。
					そこには今日は模試だから無理、と簡潔に綴られたメールの画面があった。
					「そんなときに何やらせてんの?」
					「息抜きのつもりだったんじゃないかなぁ」
					詩歌は勇人に本当かと言いたげな視線をよこすが、それに気づいた智弥がいつものことじゃないかと宥める。
「そういや、エイリアス・フラーウムってのが関わってたみたいなんだけど、勇人たちなんか知ってる?」
					主に虫を操れるかどうか。
					エイリアスについてなら彼らが一番詳しい。智弥は彼らなら自分が知らないことも何かしら知っているだろうと踏んで問いかける。
					それを聞いた二人はそうだろうなというような、あるいは驚いたような表情で互いの顔を見合わせこう返した。
					「いるもなにも、そういう能力持ってるのは彼女だけだよ」
					「僕たちが知っているので虫を操れる能力持ってるのはラナさん……智弥のいうエイリアス・フラーウムだけだね」
					僕としてはやっぱラナさんだったかーって感じだけど、と勇人は納得した様子だった。
					「オレはそういうのよく知らないから、そういうこと言われても困るんだけど」
					智弥は煮え切らないところはあるものの、彼らには何かしらわかったのならいいか、と報告をまとめようと端末に手を伸ばす。
バン、とドアを開ける音が響いた。
					「ここにいたかあ!」
					誰かに似た雰囲気を持つ青年……ルカ・A・ストルカテスがドアの前に立っていた。
					「勇人たちどこにいるのかおじさんに聞いたら、こっちにいるっていうから来たよ!」
					「えっ、今日来るって話だったの!?」
					驚く詩歌たちに対して、勇人は少し苛立ったような表情をしていた。
					「その言い方からして父さんには連絡しといて、まーた僕にはそういうのなし!?」
					「え、だって、今日逃すと数週間後になっちゃうし……おじさんにはあらかじめ言っておかないと後で面倒だし……」
					「僕に会いにくるなら、まず僕にも連絡してって前から言ってるけど」
					「それは、そうなんだけどさ……」
					勇人に責められて、笑顔だった彼もさすがに申し訳ないというような顔になっている。
					でも、だって、と言う彼の目は潤んでいた。
「……それで? 調査はどうだったの?」
					「今まとめてるところですが」
					ルカはそういう智弥から端末をひったくって報告に目を通す。
					そして、彼が気になったところを別の紙に書き出していく。
					一通り書き出すのが終わると、彼は口を開いた。
					「うん、うん。つまりエイリアス・フラーウムが原因ってこと?」
					「話を聞くにそうだと思う」
					紙にそのことを書き足す。
					「目的はわかってないんだよね?」
					「何かを探しているみたいでしたけど、具体的にそれが何かまでは……」
					「彼女は本当のことを言っていなかった?」
					「本当のことを言ってはいなかったですね、オレたちには何かを隠している様子でした」
					ふむ、と言いながらそのことを書き加えていく。
					「勇人たちは何か思い当たることとかない?」
					「彼女についてはよくわからないからなあ……面白そうなことがあるときに不意にやってくるような人だし」
					的を得ない発言にルカは唸りながらこめかみをぐりぐりを指で回していた。
					それを見ていた詩歌が、何か思いついたのか、もしかすると、と切り出した。
					「何か大変なことが起こったのかも」
					「……例えば?」
					「元となるものが壊れた……でも、報告聞くにそれはなさそうだから、別の危機になりそうなこととか」
					詩歌曰く元になるものが壊れているともっと大変なことになっているのだとか。
					今のところ、他のエイリアスが全然騒いでないのでその線はまずないだろう、とのことだった。
					「ラナさんにとって危機となると……虫になにかあった、とか?」
					「あー、そうかも。虫はこっちのものを使っているはずだから」
					それを聞いたルカはなるほどね、とそのことを書き込んでいく。
					「エイリアスってこっちのものに干渉できるんだ?」
					「できるよー。何に干渉できるかは各々異なるけど」
					エイリアスというのは、全員何かしらのこちらの世界の事象に干渉する能力を有しているらしい。
					だからこそこちらの世界に来れたところもある、とはルカの発言である。
					ちなみにフラーウムは虫とか特定の生物に対して干渉することができるのだとか。
					ただ本人の好みなのか、虫を使っていることが多いとは彼らの弁である。
					「うん、だいたい聞いておくべきことは聞けたかな」
					あとは私のほうでも確認とっておけば終われそう、と言いながらルカはある程度まとめ終えると、ペンを置いた。